金融政策決定会合、FOMCの注目ポイント

ここからは来週の注目ポイントです。16、17日に日銀の会合があります。17日の昼過ぎごろに発表があり、その後15時半から植田総裁会見が開かれる予定です。17日の晩には米国の小売売上高も発表されます。現状の米国経済を見るとハードデータでも少々悪いものが出てきています。こうした状況下で小売売上高が悪ければ、7月利下げの織り込みがFOMCよりも前に高まる可能性があり、要注意です。

FOMCは17・18日に開催されます。パウエル議長が会見するのは日本時間では木曜日19日の3時半からです。政策金利は横ばいでしょう。ただ、景気の下振れと物価の上振れの心配度合いのバランスを、どう取ってくるかが重要です(15ページ上段)。

出所:内田氏

最後に来週のドル円を2つのパターンに分けてみていきます。

まず、日銀が国債買い入れ額の減額幅について現在の4000億円を維持すると発表した場合、日本の金利が上がり、円高になりやすいパターンです。その上、FOMCでパウエル議長が、景気の下振れを懸念したり、インフレの減衰を認めるなど、ハト派寄りの発言が重なった場合、ドル円は140円に接近するでしょう。特に、来週は地政学リスクも考慮しなければなりません。中心はイスラエルとイランです。2国間の紛争がよりエスカレートするようであれば、140円割れも想定しておく必要があります。

一方、日銀が金利の上昇に配慮して買い入れ額の減額を決めた上、パウエル議長が従来通り「関税の決着がつくまで当面全く動けない」といったトーンだった場合は利下げの織り込みが後退し、ドル円相場は145円台に接近するでしょう。さらに地政学リスクが若干やわらぐようであれば145円台乗せもあると思います。

私自身は6対4程度でドル円が上昇すると予想していますが、蓋を開けてみないとわからない状況ではあります(15ページ下段)。

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