高齢者サポートや身元保証の事業者が急増
その際に聞いた話ですが、高齢化を背景に今、日本ではこうした「高齢者サポート」や「身元保証」の事業者が急増しているのだそうです。しかし、その中身は玉石混交。心ある人たちが真摯に取り組んでいる事業者がある一方で、人手不足で契約した内容が履行できずトラブルになる事業者や、高齢者の財産目当ての悪徳業者も少なくないのだとか。
夏目さんによれば、最大の問題は監督官庁が決まっておらず、免許や届け出も不要で誰でも簡単に開業できてしまうことだと言います。
「今の高齢者の問題って、三世代同居が当たり前で地域社会が機能していた昭和の時代にはほとんど見られなかったものなんです。年を取れば誰でも身体能力や認知能力が低下して、自分でいろいろ手続きすることが面倒に感じられますよね? それに加えて『身分保証がないとダメです』なんて言われたら、身寄りのない高齢者は社会から見捨てられたような気分になってしまうんじゃないでしょうか」
「私、学生時代に世界を放浪したことがあるんです。そこで感じたのは、先進国の中でも日本ほど高齢者に冷たい国はないということです。とりわけ最近は大規模な詐欺や強盗のターゲットにもされ、高齢者にとって本当に生きづらい国になっているように思います。子育て支援も大切ですが、高齢者支援ももっと充実させていかないといけないですよね」
自分より20歳近く若い夏目さんからそんな話を聞かされて、夏目さんの意識の高さに驚くとともに、同級生が言っていた「向き、不向き」を改めて実感した次第です。
夏目さんは叔母に、志を同じくする若手司法書士を紹介してくれました。その人の事務所は叔母の最寄り駅の隣のターミナル駅の近くにあり、叔母の家に週に1度は顔を出してくれるそうです。
身分保証だけでなく生活支援や死後の手続きまで請け負ってもらえ、叔母も安心したようです。料金体系も明朗で、怪しい会社よりずっと割安だったと話してくれました。
私自身も今回の一件をきっかけに、叔母に「もっと頼ってほしい」という自分の気持ちを素直に伝えることができました。叔母は最初戸惑っていたようでしたが、先週顔を見に行った時には「まあちゃんは運用とかに詳しそうだから、今度相談させてもらうね」と言ってくれました。
叔母のピンチを救ってくれただけでなく、私と叔母の関係性に変化をもたらしてくれた夏目さんには感謝しかありません。私もあと10数年後には高齢者ですから、これから夏目さんたちが「高齢者に冷たい」日本をどんどん変えていってくれることを大いに期待しています。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。