契約書を読み返して青ざめた叔母の顔
叔母は会社員時代から決まった慈善団体に寄付をしていて、自分が亡くなった後は財産をその団体に渡したいと話していました。
叔母と一緒に契約書を確認すると、この契約には叔母が把握していた内容と異なる点がいくつかあることが分かりました。払った料金は100万円以上、叔母は「詐欺かしら」といつになく取り乱した様子でした。
そこで、司法書士をしている高校時代の同級生と連絡を取り、紹介してもらったのが司法書士の夏目さんです。夏目さんは家族で法律事務所を営む中、ひとり暮らしの高齢者の見守りや生活支援、入院や施設入居の際に必要となる身元保証の引き受けなどのサービスに携わっていました。
紹介してくれた同級生によると、司法書士の中でもこうした業務には向き、不向きがあるのだそうです。
高齢者には寂しがりやの人、居丈高な人、物忘れの激しい人などいろいろ個性的な人がいます。そういう人と日常的に向き合っていくためには、高齢者支援に人一倍意義ややりがいを感じている、相当にタフな肉体と精神の持ち主でなければならないのだとか。
「俺には絶対無理!」と断言した同級生によると、夏目さんは「自分が知る司法書士の中で一、二を争う適性を持つ人」とのことでした。
司法書士が見せた迅速な解決力
すぐに夏目さんに連絡を取って事情を説明すると、「それは叔母様もお困りでしょう」と連休中にもかかわらず、翌日、叔母の家に来てくれることになりました。夏目さんの来訪に備え、その日は叔母の家に泊まって、契約の経緯など詳しい事情をヒアリングしておくことにしました。
夏目さんは司法書士のキャリアが10年と聞いていましたが、翌日初めて会うと童顔で20代にしか見えませんでした。叔母も「私の孫みたい」と目を丸くしていました。
しかし、私や叔母から事情説明を受け、契約書を確認した後の指示や対応は迅速かつ的確でした。連休明け早々にはくだんの会社と直接連絡を取り、説明義務違反による契約の無効を申し立て、契約を取り消してくれたのです。払った代金も月内に叔母の口座に全額返金されました。
叔母が「相手は怖い人たちじゃないの? 大丈夫だったの?」と聞くと、「向こうも後ろめたい気持ちがありますから、『はい、分かりました』という感じでしたよ」と平然としたものだったそうです。
夏目さんは追って私の方にも報告を入れてくれました。