通貨から資産になったビットコイン

ビットコインは2008年に誕生し、「仮想通貨」や「暗号資産」などと流動的に呼ばれていました。しかし、多くの国の中央銀行が、こうしたものを「『通貨』ではない」と指摘し、現在では「資産」という認識が定着しています。

通貨ではなく「資産」だということは、金や銀と同じように一定の価値を持つ一方で、中央銀行が発行する法定通貨が持つ、「価値の交換や決済」「価値の尺度」「価値の保存」という一般受容性は持っていないのです。

一般受容性とは「みんながそれをお金だと認めて、決済にも使えるし、将来のために貯めておくし、その尺度を統一的に理解する(1万円がどれぐらいの価値なのかをみんながわかっているというのが尺度)」という金銭面での“社会的合意”だと言えるでしょう。

一般受容性は基本的に日本の円、アメリカのドル、中国の人民元、EUのユーロなど、中央銀行が発行する通貨が持っています。通貨の信用力が弱い国の通貨は信用されずに基軸通貨でもあるアメリカドルの使用に流れる傾向があります。

 

●第4回は【頓挫したフェイスブック“未完の暗号資産構想”が残した金融包摂のヒント】です。(6月12日に配信予定)

「本当にあった事件」でわかる金融と経済の基本

 

著者名 山本御稔

発行元  日本実業出版社

価格 1,980円(税込)