◆株価下落に備えることができる投資対象は?
4月に世界の株価が大きく変動したが、三菱UFJ eスマート証券の売れ筋にランクインするような代表的なインデックスファンドの値動きを振り返ると「iFreeNEXT FANG+インデックス」が別格の動きをしていた。同ファンドは、「FAANMG」6社(Facebook(Meta Platforms)、Apple、Amazon、Netflix、Microsoft、Google(Alphabet))を含む、ビッグテック10銘柄で構成される株価指数「NYSE FANG+指数」に連動するインデックスファンドだ。組み入れ銘柄については2023年頃から2年以上にわたって「割高」の指摘があった。このため、米国の関税政策を巡って株式市場が不安定になると最初に下落したのが、「FANG+インデックス」に採用されているような大型ハイテク株だった。この4月でも主要インデックスファンドの中で基準価額の下落を先導したのは「iFreeNEXT FANG+インデックス」だった。ところが、株価が反転する時に、主要インデックスファンドの中で一番大きく値上がりしたのも「iFreeNEXT FANG+インデックス」だった。4月末には3月末を上回る水準に上昇した。
「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」は4月上旬の株価急落時にリスク回避で基準価額が上昇するという特徴的な動きがあった。4月は結果的に株価が大きく戻したため、同ファンドの基準価額は横ばいにとどまったが、株価の急変時にリスクヘッジの手段としての有効性が示されたことは評価されるだろう。国内債券市場は10年国債利回りが年1.3%程度になっている。4月1日に年1.50%だった利回りが株価の大幅な下落を受けて4月7日には1.11%まで低下(債券価格は上昇)した。2022年頃までの10年国債利回りが0.25%に張り付いて金利低下余地がないという状態とは異なる環境になっている。
「三菱UFJ純金ファンド」は金の現物に投資するETFを主要投資対象にしている。同ファンドでは大阪取引所における金1グラムあたりの先物価格を参照価格にしているため、金価格の指標とされるロンドンLBMA金価格指数やNY金先物とはやや異なる値動きになる。ただ、価格は世界指標に収れんされるため大阪金先物価格も世界的な金価格と同等と考えてよいものだ。ファンドの基準価額の推移では、4月上旬の株価急落時には株価の動きに引きずられて下落する場面もあったが、中旬以降に株価が2番底を見に行く局面では株価下落とは反対に価格が上がるという場面があり、「国内債券」と同様に「純金」にも株価下落に対するリスクヘッジの効果が確認できた。引き続き世界の株式市場は不安定な状態が続くものと予想されるだけに、今後も「国内債券」や「純金」への分散投資の動きは続きそうだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩