流動性プレミアムとリターンの関係
上場されておりいつでも取引できる資産は、いつでも売却できるというメリットがある一方、取引価格が高めに推移する傾向がある。逆に、流動性が低いプライベートアセットは、売却に時間がかかるリスクを投資家が負うため、その分、高いリターンが期待される。これを「流動性プレミアム」と呼ぶ。REITよりも現物不動産の方が利回りが高めになる傾向があるといえば分かりやすいだろう。
長期投資を前提とする場合、流動性の低さは大きな問題とはならず、むしろ高いリターンを享受できる可能性がある。そのため、保険会社や年金基金などの機関投資家は、ポートフォリオの中でプライベートアセットの比率を高めている。
プロの運用会社による不動産ファンド
現物不動産に直接投資する場合、まとまった資金が必要であり、分散投資が難しい。しかし、プロの運用会社が目利きから価格交渉、物件の運営・管理までを行う不動産ファンドを利用することで、分散投資が可能となる。これらのファンドは、多くの機関投資家が投資しており、信頼性の高い運用が期待できる。
個人投資家の新たなスタンダードとなるか
REITと現物不動産の違いを通じて、プライベートアセットの特徴を理解することができたと思う。従来、プライベートアセットへの投資は主に機関投資家向けであったが、近年その流れは変わり始めている。個人投資家にも徐々に機会が広がっており、今後さらに一般的になることが期待されるだろう。投資家それぞれが自分の目的や期間に合わせて、流動性とリターンのバランスを考え、パブリックアセットとプライベートアセットを組み合わせていく資産運用が、新たなスタンダードとして定着していくことに期待したい。