世界の資産運用の潮流に目を向ける

近年、個人投資家の間でも「プライベートアセット」への関心が高まっている。プライベートアセットとは、誰もが取引に参加できる株式市場などのパブリック市場で日々取引されない資産のことを指す。しかし、プライベート・エクイティやプライベート・クレジットなど、カテゴリーが細分化されているため、いまいちピンとこない読者も多いだろう。

そこで、不動産を例にとれば比較的分かりやすいと思うので説明したい。上場不動産投資信託(REIT)はパブリックアセット、現物不動産はプライベートアセットである。両者の違いを理解することは、世界の資産運用の潮流に遅れないためにも重要である。

価格変動性の違い

REITは証券取引所に上場されており、上場株式と同様に日々取引される。そのため、投資家の心理や市場の動向により価格が大きく変動することがある。例えば、リーマンショック時には、東証REIT指数はピークからボトムまで約65%下落した。また、コロナショック時には、一時的に約49%下落している。

一方、現物不動産は市場で日々取引されるわけではなく、価格は周辺の類似取引や利回りなどから算定されるフェアバリューに基づき、個別に取引される。そのため、全体的な投資家心理の悪化などによる急激な価格変動は起こりにくい。もちろん、リーマンショック時のように買い手が減少すれば価格はそれなりに下落するが、REITほどの急激な変動は少ない。