最高益でも株価下落の理由とは 大株主の売り出しと値上げ戦略に懸念
先述のとおり、オリエンタルランドの業績はおおむね順調です。なぜ株価は下落しているのでしょうか。
理由の1つと考えられるのが大株主による売り出しです。京成電鉄は2024年3月に1639.5万株を、さらに同年11月には1800万株を売却しました。2度の売り出しで実質的な保有比率は22.15%から20.17%へ減少します。三井不動産も2024年4月に保有株式を売却し、保有比率が6.92%から5.91%へ低下しました。
京成電鉄と三井不動産は、いずれも外資系ファンドからオリエンタルランド株式の売却を求められたとの報道があります。市場は追加の売り出しを懸念しているのかもしれません。
株価下落の理由としてもう1つ考えられるのが入園者数です。実は入園者数はコロナ前を回復していません。2025年3月期の想定は2800万人と、ピーク(3255.8万人、2019年3月期)の86%にとどまります。オリエンタルランドは過去最高の業績を記録していますが、これはゲスト単価の改善が主因です。
入園者の回復が鈍い理由と考えられるのが値上げです。東京ディズニーリゾートはチケット価格の上昇が続いており、2021年3月には変動価格制も導入しました。現在の1デーパスポートの大人料金は7900円~1万900円と、2019年3月期(7400円)から最大47.3%値上がりしています。
値上げはゲストの構成にも影響を与えている可能性があります。40歳以上の比率は2024年3月期に33.2%となり、5期で12%ポイント上昇しました。また、海外ゲスト比率は12.7%と10期で最高です。若年層および日本人の足が遠のいており、先行きを不安視する声があります。
とはいえ、株価のコロナ水準までの下落は行き過ぎの感もあります。足元の利益は過去最高で、純資産も2024年末で9505億円と、2020年末から1698億円増加しました。株式の価値は改善が進んでおり、同じ株価水準でも割安感は当時より高まっているといえます。利益の蓄積が続けば、株式価値と株価のかい離がさらに進むでしょう。株価の反発は近いかもしれません。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)