配当金はどうなる? 鉄鋼事業に「強い危機感」 5月公表の新中計が注目

厳しい環境が続くなら、投資家として気になるのは配当金の行方でしょう。JFEホールディングスは第7次中期経営計画(2022年3月期~2025年3月期)において、配当性向(※)30%程度を目指す旨を公表しました。

※配当性向…純利益に対する配当総額の割合

期間中は減配があったものの、配当性向はおおむね目標どおりで推移しています。また2025年3月期は、配当金を維持する一方で純利益の減少を見込むことから、配当性向は60%台後半となる予想です。

【JFEホールディングスの配当の状況】

※2025年3月期は同第3四半期時点における同社の予想

出所:JFEホールディングス 決算短信
 

JFEホールディングスは、2025年5月に新しい中期経営計画の公表を予定しています。しかし、先述のとおり鉄鋼事業の改善は見通しづらいとの認識です。投資家向け説明会では「非常に強い危機感」という言葉で説明しました。業績の悪化を織り込むなら、積極的な還元目標は設定しづらいと考えられます。

とはいえ、7次中期経営計画も厳しい経営環境の中で設定されたものです。2期連続の最終赤字と同時に公表され、それでも配当性向30%を掲げました。当時は回復を見込んでいた状況で、現在とは異なりますが、還元方針を維持する可能性はあるでしょう。

JFEホールディングスは、先の投資家向け説明会において「次期中期計画では、収益改善に取り組むとともに、安定配当を念頭に議論」する方針を示しました。また、エンジニアリング事業は廃棄物発電や橋梁関係が堅調で、「今後の伸び代」とも言及しています。

新しい中期経営計画では、配当性向30%が維持されるのか、またどのように収益を改善させるのか、注目を集めそうです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)