鉄鋼大手、エンジニアリングと商社も収益源 電炉に注力
まずは概要を解説します。
JFEホールディングスは大手の鉄鋼メーカーです。2002年に川崎製鉄と日本鋼管が統合して設立されました。川崎製鉄は、1950年に現在の川崎重工業が製鉄部門を分離して誕生した企業です。持分法適用関連会社には、艦船の製造で高シェアのジャパン マリンユナイテッドを持ちます。
JFEホールディングスの特徴は、電炉が比較的大きいことです。高炉が鉄鉱石から生産する一方、電炉は鉄スクラップのリサイクルです。グループ中核のJFEスチールが仙台製造所で電炉による生産を行うほか、子会社に電炉専業のJFE条鋼があります。JFEホールディングスは2023年に2480万トンの粗鋼を生産し、うち180万トン(7.3%)を仙台製造所とJFE条鋼が占めました。
現在は製造業向けの高級鋼も生産できる電炉の開発に取り組んでいます。電炉は一般に、原料である鉄スクラップの不純物などから、高級鋼の生産には向かない技術です。JFEホールディングスは、西日本製鉄所(倉敷)の高炉を高効率かつ大型の電炉へ転換し、高級鋼の生産を目指します。電炉は二酸化炭素の排出削減が期待できることから、2024年12月には政府の支援事業にも採択されました。
ほかに、エンジニアリング事業と商社事業を持つことも特徴的です。エンジニアリング事業はプラントの設計や建設など、商社事業は金属製品のトレーディングや加工などを行います。商社事業は食品も扱っており、子会社には「ノザキのコンビーフ」で知られる川商フーズも持ちます。
【JFEホールディングスのセグメント情報(2024年3月期)】
※セグメント事業利益は金融損益を含む(連結の事業利益は税引前利益から金融損益および金額に重要性のある一過性の項目を除いたもの)