採算性の改善で増益傾向 足元は防衛向けが好伸、政府予算の増加で

次に業績を確認しましょう。日本電気は2019年3月期まで利益の低迷が続きました。採算の悪い事業や案件の見直しに伴い、計上された構造改革費などが利益を圧迫しました。

以降はおおむね増益の傾向です。事業の見直しが奏功し、利益率は改善傾向にあります。2024年3月期はITサービスが国内の官公庁や企業向けで伸長したほか、社会インフラは政府予算の増加から防衛向けで好調でした。

 
出所:日本電気 決算短信より著者作成
 

改善は翌2025年3月期も続いています。第3四半期の累計で営業利益は前年同四半期比80.7%増、純利益は同110.2%増(2.1倍)で推移しています。引き続きITサービスや航空宇宙・防衛で社会インフラが好伸しました。

これを受け、通期の業績予想を上方修正します。期首時点ではNon-GAAP純利益(※)は7.2%減を見込んでいました。第3四半期までの進捗を反映し、一転して増益を予想します。本決算は例年4月下旬~5月中旬に公表されています。

※Non-GAAP純利益 :純利益から買収で認識した無形資産の償却費とM&A関連費用、および株式報酬や構造改革関連費用・減損損失などの一過性損益を控除したもの

【日本電気の業績予想(2025年3月期)】

・売上収益:3兆4100億円(-1.9%)
・調整後営業利益:2600億円(+16.3%)
・Non-GAAP純利益:1820億円(+2.3%)
※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想

出所:日本電気 決算短信