住友グループの中核企業 ハードウェアからITサービスへシフト
日本電気はITサービスの大手です。設立は1899年、条約改正を機に国内初の外資系企業として誕生しました。住友グループとの関係は、1920年に電線事業の譲受を機に当時の住友財閥と資本提携を結んだこと、1932年に経営を委託したことに由来します。
日本電気は、長期的には製造業として成長してきました。電機メーカーをイメージする人も多いでしょう。たしかに機器の製造や販売も事業範囲ですが、ハードウェア関連の事業は縮小傾向です。
たとえば、半導体事業は日立製作所や三菱電機と統合(現・ルネサスエレクトロニクス)して分離したほか、パソコン事業は中国のレノボと統合しました。さらに携帯電話端末からは撤退、ディスプレイ事業もシャープとの統合に伴い比重は低下しています。
ハードウェアに代わり、現在の日本電気を支えるのがサービスです。コンサルティングを含むシステム開発のSI(システム・インテグレーション)や、通信インフラ関連のサービスなどが収益を支えます。機器の提供は、主にこれらの事業に付随するものです。
【日本電気のセグメント情報(2024年3月期)】
※調整後営業利益:営業利益から買収で認識した無形資産の償却費とM&A関連費用を控除したもの
主な顧客は公官庁や通信事業者で、売り上げの74.5% は国内です(2024年3月期)。海外はM&A も活用しつつ拡大しています。近年は2018年の英ノースゲート社(現・NECソフトウェア・ソリューションズ・ユーケー)を皮切りに、2019年にデンマークのケーエムディ社、2020年にはスイスのアバロク社と、相次いで買収を実施します。