来週の注目ポイント
ここからは3月24日週の注目材料を見ていきます。24日に日本、ユーロ圏、米国でPMI指数が出ます。週末は日米の物価統計も出ます。今後のインフレの動向を見通すうえでは非常に意味のあるものですが、ここであえて注目したいのは25日に発表の3月分カンファレンスボード(CB)消費者信頼感指数です。
そもそも2月に発表された1月分小売売上高とCB消費者信頼感指数が悪い結果に終わり、米国の個人消費、ひいては経済の先行きに対して懸念が高まりました。

ここで消費者信頼感指数の推移をまとめてみました。期待感(先行き)に関する数値をまとめた赤線を見てみます。前回2月分は大きく落ち込みました。コロナのときよりもさらに不安が高まっている状況です。
2022年以降、ロシアの軍事侵攻後も消費者信頼感指数は悪化しました。その後は米国の利上げとインフレが強く警戒されました。その後先行きに対する不安感が和らぐ動きを見せ始めていたのですが、昨年11月あたり、米大統領選挙でトランプ氏再選を織り込み始めた時に、不確実性からか落ち込み始め、2月分が大きく落ち込んだという状況です。
一方で現在の米国の経済をどう見ているかについても考えてみます。マーケットトークでよく紹介するダラス連銀のウィークリーエコノミックインデックスやいわゆるハードデータと言われる米国の経済指標を見てみると、悪いものはあまり出ていません。
ただ、問題はセンチメントが大きく悪化したことが実態経済にも波及してしまう点です。今の米国経済をめぐっては心配しておく必要のある動きだと感じています。こうした意味では3月24日週はやはり消費者信頼感指数の動向に大きく注目する必要があると思います。
3月24日週のマーケットの動向については過熱する米国経済への警戒感は多少和らぎ、株などは若干持ち直すものの楽観視はできない状況になると思われます。なぜかというと翌週にあたる4月第一週は米国では雇用統計やISMといったさまざまな指標が発表されるタイミングだからです。
また、4月2日にトランプ大統領はいよいよ自動車関税をはじめとしたもろもろの関税を出してくると言われています。3月24日週はそれが目前に迫っているタイミングでもあります。緊張感が残るようなマーケットになるのではないか、と私は思っています。
株は横ばい圏で、ドル円については、これだけ円ロングが積み上がっても円高方向には147円割れまでしか進みませんでしたから、一旦150円に乗せてもおかしくないと思います。ただ先行き不透明感が強いと円売りはあまり出にくいところもあります。150円手前でちょっと上値が重い形になるのではないでしょうか。
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