過度な景気後退懸念は和らぐ

株も見てみましょう。先にみた通り、2月分の米国小売売上高が発表されたことを受け、過度な景気後退懸念が多少和らぎました。円高も一服し、米株が持ち直しということで、日経平均株価も2%弱上がっています。
ドイツはユーロや長期金利と同じように一旦の材料出尽くし感から株価指数(DAX)も大きく反落しています。そのほか注目の動きとしては新興国の株が、かなり上がりました。FOMCの結果を踏まえて市場のリスク回避姿勢が多少和らいだということだと考えられます。

さてドル円相場は一時146円台までドル安円高が進みました。ここからさらに145円を割り込むようなドル安円高が進むとすれば、どのような材料が必要なのかをまとめてみました。
まずは米国で景気減速への懸念や利下げ観測が強まり、ドルが大きく売られると、もちろんドル円が下落します。次に、ユーロドルの上昇です。今回は結局1.10台に乗せることはなかったのですが、何らかの要因によって1.10台までユーロ高ドル安が進むとドル円にも影響してくる可能性があります。
仮に起こるとすれば、たとえば、現在はドイツの財政拡張によるインフレへの懸念からECBの利下げの打ち止め観測が出るような場合です。また、ドイツの長期金利は3%手前で急反落しましたが、もう1度3%に乗せるような動きが出ればユーロドルが上昇します。
また、日銀の5月の利上げ観測が台頭する場合です。現在、マーケットは5月の利上げを2割程度しか織り込んでいませんから、実際にそうした話が出てくれば円高になりやすいと思います。
ただ、今後円高が進むにしても、このまま進むことは考えにくいのが現状です。ドル安円高に進むためには今の円ロングの取り崩しがある程度、必要ではないかと考えています。
一方、3月17日週のドル円は150円台で定着することができませんでした。仮に今後150円台に定着するとすればどのような場合でしょうか。
一つは米国長期金利が上昇する場合です。現在は4.2%台という水準ですが、これが4%台半ばまで上昇すればドル高相場になり、ドル円も150円台で定着する可能性が高くなります。
例えば、トランプ減税4.5兆ドルと債務上限の引き上げ4兆ドルなどを含む下院で可決された予算決議案が上院に送付されています。上院の審議を経て、そのまま通るようなことになれば、米国長期金利が上昇してドル円150円定着ということもあり得るでしょう。
ただトランプ減税や債務上限の引き上げに関しては上院の共和党議員はかなり反対姿勢です。政府債務の拡大をよしとは思っていないからです。予算案の行方はまだ見通せていない状態です。
もう一つはリスク回避姿勢の緩和です。リスク回避の円買い・円ロングの構築とは逆の動きが活発になり、円安方向に進むでしょう。
他にもユーロドルが1.07、1.06とユーロ安ドル高になる場合、ドル高がドル円にも波及してくる可能性があります。ただ、ユーロにとって非情に悪い情報が出てユーロが大きく値下がりする場合、ユーロ安円高となってドル円の押し下げになってしまうケースも考えられます。ユーロ円はそれほど下がらずユーロドルが下がる場合は、ドル円はドル高円安になると思います。