住宅ローンの変動金利にも注意が必要
次に、運用ではなくお金を借りる側からすれば、金利上昇は不利です。なぜなら借入コストが上がっていくからです。
本来なら借金はしないに越したことはないのですが、どうしても住宅ローンを組んで持家を購入したいという場合は、金利が上昇しても大丈夫なように対策を講じる必要があります。
たとえば当初の借入コストがかさんだとしても、変動金利型ではなく固定金利型を選ぶべきでしょう。あるいは今後10年程度をかけて金利が上昇し、ピークをつけると読むならば、10年間だけ固定金利が適用される住宅ローンを選択するという手もあります。
ちなみに金利上昇局面においては、新規で住宅ローンを申し込む際の利率は、固定金利型よりも変動金利型の方が低く設定されます。
銀行側から考えれば、これから10年先、20年先まで借り入れた人から受け取れる利息が変わらない固定金利型住宅ローンよりも、金利上昇によって今後、受け取れる利息が増える可能性の高い変動金利型住宅ローンで借りてもらいたいので、変動金利型を利用してもらえるように条件を設定していると考えられます。
しかし、現時点における金利の高低だけに目を奪われて、より金利の低い変動金利型を選んだ後、金利が大きく上昇したら、最終的な返済金額が固定金利を上回ってしまうことも考えられます。この点は今後の金利情勢次第ですが、そうなるリスクがあることも考慮したうえで、変動金利型と固定金利型のいずれかを選択する必要があります。
株価はどうか…
他の資産に関していえば、株式は有利とも不利とも言えません。金利上昇の裏側にインフレがあるならば、株式にとっては有利です。物価上昇にともなって名目上の売上や利益が増えるので、それが株価の押し上げ要因になるからです。製品やサービス価格の引き上げ余地が増えることも、企業の業績にはポジティブ要因になります。
ただし、企業によっては値上げできないケースもあります。競争が激しく、自社製品・サービスの参入障壁を築けていないような企業、価格支配力を持っていない企業にとって、インフレはネガティブ要因です。
総じて物価上昇を伴う金利上昇は、株価にとってポジティブですが、企業によって状況は異なると考えるべきでしょう。