難しい情勢
最後に来週の見通しです。

ここまでお話ししてきたように非常に予想の難しい情勢です。まず、日本の長期金利は東京都のCPIが予想を下回ったことやリスクオフ相場を受けて、1.3%台から1.4%前半で推移するのではないかと思います。
日本株については、引き続きトランプ政権の関税政策、特に自動車関税や相互関税の実施が進む中で、為替で何か注文つけられないか、このあたりに注意が必要です。
中期的にはインフレ基調継続で底堅さを維持するとみており、日本株は底堅さを維持するという見方は変えていません。ただ、短期的にはさらなる下落の可能性も視野に入れておく必要があるでしょう。
具体的に考えてみましょう。9月に36,000円を割り込んだあと、少しずつトランプ再選の話で盛り上がり、足元で3万7000円を少し割り込んだところまで下がってきました。トランプラリーの巻き戻しとみるなら、昨年9月の安値までもう1000円ほどの下落も視野に入れる必要があると思います。
ただし、先ほどご説明したように、必ずしもトランプ関税を嫌気して日本株が下がったとは言い切れません。たとえば、情報技術セクターの下落は米国のIT銘柄に連動した部分もあり、トランプの関税を過剰に警戒している面もあったように思います。
ですから、37,000円割れで底入れを探る展開を期待したいところです。

為替については昨年12月の安値付近で底堅さを確認したことで、投機筋の円の買い戻しも一巡した可能性が高く150円台を回復しました。ですから上値は重いながらも持ち直し、150円をなんとかキープできるかどうかという状況だと思います。
ただし、リスクオフが続く場合は、強い順に「ドル、スイスフラン、日本円」といった安全資産選好の動きが出る可能性もあるでしょう。そうなると、ドル円はあまり動かないものの、他の通貨と円の強弱に差がつきやすくなります。リスク回避の場合、クロス円での円高がでやすい点には注意が必要です。
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