日本円があまり強くなかった要因

逆に日本円があまり強くならなかった理由としては、ヘッジファンドなどの円ショート(円売り)ポジションの買い戻しがかなり進み、ゼロ近くまで戻ってきていることが挙げられます。

 

つまり売られていた円の買い戻しがそろそろ一巡してきたということです。日本円は金利からインフレ率を差し引いた実質金利が大幅なマイナスという非常に弱い通貨なので、売った分よりもさらに買い上げる展開にはならなかったと考えられます。

さて、2月28日この後(約1時間後)に発表される米国のPCE(個人消費支出)物価指数は重要な指標です。※

出所:内田氏

伸び自体は減衰してきているものの、2%台半ばで少しインフレの鈍化に歯止めがかかってきている状態です。事前予想では、前回よりもインフレが収まるという方向の数字となっています。

ただし、現在マーケットのセンチメントが非常に悪いため、結果がどうであっても株安につながる恐れがあります。たとえば、PCEが予想を上回る場合、インフレ懸念になった場合は利下げ観測後退するという話が出てきます。そうなれば、金利が上昇し、株安につながる可能性があります。

逆にPCEが予想を下回った場合は、経済の勢い鈍化しているという見方につながります。その結果インフレの鈍化によって景気への不安が台頭し、やはり株安につながる可能性があります。

予想から大きく上下にぶれると株価の下落につながる可能性がありますが、予想と大きく変わらなければあまり影響はないかもしれません。

※前年同月比で2.5%上昇。伸びは市場の予想通りだった。コア指数に関しては前年同月比で2.6%上昇。2.9%に上方修正された24年12月から鈍った形になった。