投資に充てる豊富な現預金

次いで大きいのが、流動資産(2兆1,940億台湾ドル)です。この流動資産の約3分の2は現金及び現金同等物(1兆4,650億台湾ドル)で占められています。現金及び現金同等物の金額は、売上高の8.1カ月分に相当します。また、棚卸資産(2,510億台湾ドル)、売上債権(2,010億台湾ドル)といった営業に必要な資産も流動資産に計上されています。

B/Sの右側(負債・純資産サイド)には、流動負債が9,140億台湾ドル、非流動負債(固定負債に相当)が1兆1,360億台湾ドル計上されています。これらのうち、9,560億台湾ドルが社債や借入金、リース負債といった有利子負債です。

資本(純資産に相当)は3兆4,830億台湾ドルで、総資本(負債と資本の合計)に占める割合(これを自己資本比率と呼びます)は63%となっています。

TSMCにおけるB/Sの左側には、半導体工場の資産規模が大きいために有形固定資産の占める割合が高いことに加えて、投資に充てるための現預金が豊富であるという特徴が表れています。また、B/Sの右側においては、投資に必要な資金を有利子負債で調達している様子もうかがえます。ファウンドリを手掛ける企業ならではの特徴が色濃く出ているB/Sであるといえます。

会計指標の比較図鑑

 

著者名 矢部 謙介

発行元    日本実業出版社

価格 1,980円(税込)