◆「宇宙関連」にはトランプ政権への期待

第7位にランクインした「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は、ファンド名の通りに「成長が期待される宇宙関連企業の株式等」に投資するファンドだ。宇宙関連企業について同ファンドでは、ロケット等の輸送機や衛星の製造、打ち上げサービス、衛星や地上設備の運営、衛星データを活用した通信・情報サービス、関連ソフトウエア、その他周辺ビジネス等の提供を行う企業としている。投資対象企業は、日本を含む世界の市場に上場している企業だが、2024年11月末時点の組み入れ銘柄51社の国別比率は米国が73.5%で大半を占めている。実質的な運用は、米カリフォルニア州にあるヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーが行っている。

11月末時点の組み入れ上位銘柄は、トップの「ロケット・ラボUSA」以下、「パランティア・テクノロジーズ」、「アクソン・エンタープライズ」、「レオナルドDRS」、「モトローラ・ソリューションズ」などで、従来の米国株を代表していたIT関連銘柄とはかなり内容の異なる企業になっている。トップ10企業の中には、三菱重工業も含まれている。

注目されるのは、同ファンドの過去1年間のトータルリターンは、11月末時点で47.07%と、「S&P500」インデックスファンドの36.65%を上回る成績になっていることだ。同ファンドを設定・運用する東京海上アセットマネジメントは12月に「米大統領選挙以降、上昇幅が加速する宇宙関連株式」と題したレポートを発行し、「トランプ次期政権の宇宙政策によって、宇宙産業は更に勢いを増して成長する可能性が考えられます」と規制緩和による成長期待の拡大を見通している。

既に次期トランプ政権の重要なメンバーとして認識されているイーロン・マスク氏は宇宙開発会社スペースXを率いており、かねてから宇宙関連産業への規制緩和を訴えてきた。トランプ氏も「第1次トランプ政権では、2017年に約24年ぶりに国家宇宙会議が復活し、2019年は独立した軍事部門の宇宙軍が創設され、NASAの予算増額や、有人の月探査『アルテミス計画』が始動」など、宇宙関連事業には積極的な姿勢を示していた。同レポートでは「第2次トランプ政権では、宇宙領域で活動を活発化している中国やロシアを念頭に、軍事・民間の宇宙分野への支出を増加させることが考えられます」と、今後の宇宙関連ビジネスの発展を見通している。既に同ファンドは「S&P500」を上回るリターンを稼いでいるが、今後、宇宙関連ビジネスの環境整備が進めば、関連企業の成長は一段と加速する期待がある。この成長期待が12月の売れ筋上位にランクインした背景になっていると考えられる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩