三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「複合資産(バランスファンド)」に分類されるファンドの2024年11月の月次資金流入額トップは「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10」になった。前月1位の「のむラップ・ファンド(普通型)」は第2位に後退したものの根強い人気がある。定番となりつつある「Tracers S&P500ゴールドプラス」や「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」などは安定的な収益を求める投資家の支持を固めている。
◆限定追加型や「ゴールド」を加えた運用に人気
「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10」は10月31日に設定され、追加募集期間が12月30日までという募集期間が限られたファンドだ。しかも、設定後に1年をかけてリスク資産を積み上げて目標とするポートフォリオ(先進国株式50%、新興国株式10%、先進国債券40%)に着地する。加えて、基準価額が1万1500円以上になったら安定的な債券運用に切り替えるため、期待できる運用収益にも上限を設けている。株式への投資を徐々に増やす仕組みは、積立投資の投資効果にも似ていて株式のリスクに慣れていない投資家に支持されるのかもしれない。また、信託期間は約5年間という比較的短い期間でもあり、このタイミングで株式や債券のリスク資産に投資するメリットを感じる投資家にもニーズはあるだろう。純資産残高は12月24日時点で326億円になっている。
バランスファンドの純資産残高の上位は、トップに「セゾン・グローバルバランスファンド」の5115億円、そして、「のむラップ・ファンド(普通型)」の4995億円、「世界経済インデックスファンド」の3582億円がトップ3になる。近年、「Tracers S&P500ゴールドプラス」や「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド」などが残高を積み上げている。これらはいずれも運用資産に「金(ゴールド)」を比較的大きく組み入れたファンドで、「ゴールド」は株式と債券の連動性が高まりリスク分散効果が薄れてきたと言われる中で、新たな分散先として注目されている。
バランスファンドは、リスクを抑えて中長期の目線で資産を着実に増やしたいという投資目的で活用されることが一般的であるため、今後はバランスファンドにとっては「ゴールド」の組み入れが当たり前と意識されるようになるのかもしれない。一方、債券に利回りが戻ったことによってインカムゲインへの期待も高まり、債券という投資対象が株式と異なる側面でも評価できるようになってきた。バランスファンドの要諦であるリスク分散という考え方は、株式と債券の性格の違いが際立っているほど分散効果が高まる。「ゴールド」の組み入れも含めて、リスク分散の効果が高まるほどにバランスファンドの価値も高まる。今後はバランスファンドへの見直しも進むと考えられる。