「日本語でコミュニケーションが取りづらい」が4割超

次いで企業が外国人を雇用している理由についても見ていこう。最も回答率が高いのは「労働力不足の解消・緩和のため」で64.8%。次いで「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が56.8%。これらは昨今の人手不足が追い風になっているかもしれない。またダイバーシティ(多様性)の推進などから「事業所の国際化、多様性の向上を図るため」(18.5%)、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して」(16.5%)といった回答も一定数あった。

また、文化や言語の違いから外国人労働者と共に働く中で課題に直面することも。調査によれば、外国人労働者の雇用に関する課題として回答率が高かったのは、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」で44.8%。他にも4番目に多い回答として「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」(19.6%)が挙がるなど文化や言語の違いに起因する課題に直面する企業は少なくないようだ。外国人雇用が定着してお互いに慣れてくれば、こうしたギャップも解消していくのだろうか。

一方で「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」も25.4%と2番目に多かった。外国人雇用を定着させるうえで、継続的な制度面の改善も必要だろう。

外国人ワーカーの3割超が日本で転職を経験

外国人ワーカーの国籍はどこが多いのか。調査から最も多いのは「ベトナム」で29.8%。次いで「中国(香港、マカオ含む)」が15.9%、フィリピンが10.0%と続く。

調査によれば、彼らの多くは母国あるいは日本の紹介会社や個人などを通じて入国するケースが多いようで、実に85.2%が該当した。また入国までには、ある程度の費用がかかるようだ。回答率が最も高いのは「20万円以上40万円未満」(23.0%)だった。

異国で働く苦労は並大抵のことではない。日本での就労で何かトラブルや困ったことはなかったのだろうか。調査では、「なし」と回答した人が82.5%を占め、「あり」は14.4%にとどまった。ただ、紹介会社がついているからといって、必ずしも万全のサポートが受けられるわけではないようだ。

「あり」と回答した人のうち、遭遇したトラブルとして回答したもので最も多いのは、「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」で19.6%。また「トラブルや困ったことの相談先がわからなかった」(16.0%)、「事前の説明以上に高い日本語能力が求められた」(13.6%)といった回答も多かった。

日本で職に就いたあと、別の会社に転職する外国人ワーカーもおり、調査によれば約34%が該当。転職によって賃金が上がったと回答した人はそのうち60.5%にのぼっている。

調査概要 調査主体:厚生労働省 調査名:令和5年外国人雇用実態調査 調査期間:2024年9月30日現在の状況について、2024年10月~2024年11月までの間に実施 調査対象:雇用保険の被保険者が5人以上で、かつ外国人労働者を1人以上雇用している全国の事業所から抽出された9450事業所のうち有効回答を得た3534事業所および当該事業所に雇用されている外国人の常用労働者1万1629人