今や160万人もいる外国人ワーカー 約3分の1が「専門的・技術的分野」

今回参考にするのは厚生労働省による「外国人雇用実態調査」だ。具体的には雇用保険の被保険者が5人以上で、かつ外国人を雇用している3534事業所およびそこで働く外国人労働者1万1629人を対象とした調査である。調査によれば、現在日本で働く外国人ワーカーは全体で約160万人※。日本全体の就業者数が6814万人なので、約2.3%を占める計算だ。

外国人が日本に滞在する場合は在留資格という法的な資格が必要になる。在留資格別に約160万人の内訳を見ると、一番多いのが「専門的・技術的分野」で35.6%。具体的にはシステムエンジニアや事務職など「大卒ホワイトカラー、技術者」。外国料理人など「外国人特有または特殊な能力等を活かした職業」。外資系企業の経営者や管理職、弁護士、会計士、医師、大学教授など「高度な専門的な職業」に大別される。

次に多いのが永住者や日本人の配偶者など「身分に基づくもの」が30.9%。そして「技能実習」が22.8%と続く。なお技能実習とは、日本の技術などを外国人に教えることで、将来母国の経済発展を担う人材の育成を目的に作られた制度だ。

※厚生労働省の定義「外国人労働者数(雇用保険被保険者数5人以上事業所)」に基づく。

残業代も含めて平均給与は26万7700円

次に気になる給与について見てみよう。調査によれば、「月間きまって支給する現金給与額」は26万7700円。参考までに日本の平均賃金は31万8300円※なので、それより15%程度低い水準だ。なお給与の前提として、所定内実労働時間155.8時間に加えて、残業や休日出勤といった超過実労働時間19.8時間も含まれている。

在留資格別では、「専門的・技術的分野」が28万5900円(158.6時間、17.5時間)。「身分に基づくもの」が30万2300円(149.5時間、18.5時間)。「技能実習」が20万4100円(163.2時間、26.2時間)。なおカッコ内の数字はそれぞれ所定内実労働時間、超過実労働時間を示す。永住者など「身分に基づくもの」は日本の平均賃金とそん色のない水準に見えるが、それに比べると技能実習の給与の低さ、労働時間の長さが気になるところだ。

※出所:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」