本来であれば、来年は政策金利をもっと下げるべきですが、そこまで緩和できず3.9%に留まっています。26年末も9月の予想では2.9%まで下げるはずが3.4%に上方修正しています。

長期的な見通しも0.1%上方修正した3.0%となりました。わずか0.1%の違いですがこれが10年金利を大きく押し上げ4.57%に、為替相場ではドル円を157円にしている。そしてナスダックが大きく下げた要因にもなっています。

次にここまでの実質政策金利の推移を見てみましょう。2019年10月から直近2024年12月までをまとめています。

 

この実質政策金利は発表当時の政策金利からインフレ率を引いた値です。0近傍であれば、「実質的には金利を引き上げていない」ことを意味します。

コロナ禍以降の景気後退期を見ると、金利を一気に0に下げたことから、実質政策金利は-1%になっています。

その後アメリカはリオープン(経済再開)しました。政策金利を0にしたところ、需要急増に伴いインフレ率がドンと上がったので、実質政策金利が2022年4月には-6%近くまで下がりました。

「これではいかん」ということで、FRBは利上げをして、政策金利はインフレ率を抜いて最大で2.5%ほどになりました。これをゆっくり下げていこうとしているのが今のアメリカの状態です。

 

景気後退期になれば実質政策金利はマイナスに、景気が良くなれば0から1%の範囲で推移します。おそらく、今のアメリカでは実質政策金利は0にはならないでしょう。とはいえ将来的には実質政策金利を1%のあたりに置いておこうと考えているようです。この状態を維持できるのであれば、実はそれほど心配の必要はありません。