次に失業率を見ていきましょう。「今年は上がっていくだろうな」という見通しを最初から持っていました。しかし、9月~12月にかけては4.4%から4.2%に下方修正しています。つまり、思ったほど失業率は上がっていない。
25年末の予想を見ても大きな変化はなく、26年末もほぼ変わらない。注目は27年末です。9月予想の4.2%から4.3%に上方修正されています。そして、最終的には4.2%(長期見通し)で落ち着く。
4.2%はアメリカにおける「ちょうどよい失業率」と言われています。つまり、現状から、ちょうどよい失業率になるには、3年ほどかかるということなのです。
この失業率の変遷こそが、今回のFOMCにおける最大のポイントです。そもそも、アメリカは構造的な失業の問題を抱えています。つまり、楽して儲かるような仕事では人が余っているが、他方で強烈に求人のある賃金が低く過酷な環境の職場への労働供給がなくなってしまっているのです。この問題が、アメリカのしつこいインフレ率、そして利下げがなかなか進まない背景でもあります。
潜在成長率が上がったゆえに利下げペースが落ちたのであればよいのですが、いまは構造的な炎症を起こしている。この状態では簡単に利下げができない。また、移民が来なくなれば、この炎症はさらにひどくなるでしょう。
そうなれば、失業率は高いまま、低賃金の人たちの賃金上昇率が賃金を押し上げる形でインフレ率が上がっていってしまう。
そして、おそらくFRBは潜在成長率は上がっておらず、ボトルネックが起こっているのだと見ているのでしょう。どう解決すればよいのか。
FRBができるのは長期にわたり、国全体の消費・投資・求人の総需要を抑えるために金利を上げることです。