米国の金利の動きについて今回はお話ししたいと思います。
米国の長期金利は下がってくれました。株価上昇にもつながるので、決して悪いことではありません。しかし気になるのが、長期金利が下がった一方であまり短期金利が下がっていないことです。
きわめてプロフェッショナルな話ではありますが、皆さんにも広く影響する可能性もあることから、しばらくはこのテーマを追いかけようと考えています。
次の図を見てください。
直近のイールドカーブの変化をまとめたものです。横軸は1年から30年までの米国金利、縦軸は米国債券市場の金利水準を4.0%~4.7%までまとめたものとなっています。
青い折れ線グラフが11月13日の金利です。非常に高い水準でした。緑色が12月4日、直近の値となっています。そして、赤い折れ線グラフ。11月29日のもので直近で一番金利水準が低くなりました。
この三つのグラフのなかで「正常な形」をしているのが11月13日の青い折れ線グラフです。1年金利は4.3%で、そこから少し金利水準は落ちるものの10年金利になると、4.44%くらいまで水準が上がる形になります。
ところがです。直近でも最も金利水準が低くなった、11月29日の赤い折れ線グラフを見てください。1年金利に比べて10年金利の水準が下がってしまっています。
つまり「逆転現象」が起きてしまっているのです。原因は「FRBが利下げしないのではないか」という見方ができたことだと、通説では言われています。
そして、一番新しい12月4日のデータを見ていきましょう。こちらも10年金利が1年金利に比べて低い水準となりました。12月5日アメリカの終値を見ても、1年金利が4.23%、10年金利は4.17%で短期金利と長期金利が逆転したままの状態です。
つまり、アメリカの債券市場は正常化に向かっていたはずが再逆転してしまったわけです。