先に紹介した画像にはもう一つの注目ポイントがあります。1968年~1984年までを見てください。

 

たとえば、73年と74年は1度長短金利が逆転、水面に顔を出すようにして正常化に動いたものの、再度金利差がマイナスの方向に動いています。他にも80年あたりで同じような動き、つまり「2回掘る」動きがみられます。

なぜ68年~84年に注目だと申し上げたかと言うと、実は湾岸戦争、ITバブル、金融危機、コロナ禍、ここ直近4回の長短金利差の逆転では「2回掘る」動きはみられていないからです。

そして、2024年です。2度目の逆転が起こりそうな動きがあります。だからこそ、私は注目しているのです。

さて、ここからは過去2回あった「2回掘る」動きをした時代に何が起こったのかを見ていきたいと思います。

 

このグラフは1968年~84年までの米国FFレートの推移をまとめたものになります。当時はまだ誘導目標はありませんでした。そのため、公定歩合を上げ下げしていました。

また80年代には、マネーサプライの管理、要人発言等の結果によってもFFレートは動いています。このグラフでの注目ポイントは73年と74年の間です。1度下がったFFレートが再度上がっています。

80年、81年のところでも類似の動きが見られます。つまり、2度目の長短金利の逆転現象が起こるときは、必ず「金融緩和が始まった」と思ったにもかかわらず金利が上がってしまう、つまりインフレ退治が終わったと思ったら元の木阿弥に戻ってしまったケースで2度目の長短金利逆転現象が起こってしまっているのです。

次のグラフに移りましょう。

 

1968年~84年の長短金利差とFFレートの推移を重ねてみました。少しわかりづらいかもしれません。

そこでFFレートの軸を反対にして、FFレートが上に動くと金利が下がる、そのようにしてみると、次のようなグラフになります。

 

こうなると、何が起こっているのかがはっきりわかってくるのではないでしょうか。もっとズームインして見てみましょう。1972年~84年の長短金利差とFFレートの推移をまとめてみました。

 

80年あたりを見てみましょう。インフレが終わったと思い一度金融緩和をした。しかし、やはりまだやらなければいけないと利上げをする。そうすると、長短金利差は再逆転してしまっている。そのような動きが見えると思います。

これが歴史的に見られる、逆転の解消、そこからの再逆転という大どんでん返しのパターンです。