FOMCの後、米国では株が下落しています。今回はその背景について、踏み込んだ解説ならびに今後の予測をしてみたいと思います。

まず、今回のFOMCの特徴から見ていきましょう。利下げをしたことよりも、先行きの見通しがかなり動いたところにポイントはあります。

 

そもそもFOMCは「フォワードガイダンス」と呼ばれる、経済や金融政策の今後の見通しを3月・6月・9月、そして12月とマーケットに知らせています。画像は今年1年間のFOMCフォワードガイダンスの変遷をまとめたものです。

まずは成長率見通しを見ていきましょう。9月~12月にかけて大きく上がりました。アメリカはFFレート(政策金利)を5.5%まで上げました。経済が失速するかと思いきやなかなか失速しなかったことが影響しているのでしょう。

しかし、2025年末の予想成長率は失速しており、2027年末になると1.9%になるという見通しを立てています。

私が注目しているのはこの1.9という数字です。それまでは2.0だったのですが、下方修正されました。これだけでナスダックには大きな売り材料になります。しかも、長期的な見通しを見ると最終的に成長率は1.8%になると見越している。

一部にはアメリカの潜在成長率が上がったのではないかという期待感があったようです。ナスダックとしては0.1%でも成長率が上がってほしかったところでしょう。しかしながらFRBメンバーはアメリカの潜在成長率は変わっていないと判断した。ここがポイントです。ナスダックに対する「強烈な売りメッセージ」となりました。

そして、ここまでの3カ月を見てみると、構造的な失業問題が今のアメリカの経済にはある。その点を改めて教えてくれた数字だと思います。