インフレで物価が上がってもモノは売れるの?
もちろんこれは最近の日本株の好調を単純に反映させたものなので、今後もこの調子が続くと考えるのは早計です。実際、2024年8月に、株価は暴落しました。でも、仮に少し控えめの年5%の利回りで運用できたと仮定しても、複利計算でどんどん増えていくので、15年後には100万円が200万円ぐらいまで倍増することになります(1.05の15乗=2.0789…)。それぐらい増えれば、十分に「投資で儲けた」と実感できるのではないでしょうか。インデックス投資信託は、長く運用すればするほどメリットが大きくなります(図7参照)。
もちろん、当初の見込みよりも平均株価が上がらないこともあり得るでしょう。しかし、たとえ利回りが2~3%まで下がったとしても、銀行預金の金利とは1桁違います。個人的には銀行預金の利子よりは高い利回りを得られると思っていますが、みなさんはデフレに慣れてしまっているため信じられないかもしれません。しかし、インフレ経済になれば株価も上昇していくことになります。「最近物価が上がって厳しいなあ」と実感されている方は「同じように株価も上がっていくのではないか?」と思えないでしょうか。
なお、「インフレで物価が上がればモノが売れなくなるのではないか?」という疑問を持たれるかもしれませんが、それはじつは発想が逆です。その値段で実際に売れているからモノの価格が上がっていくのです。たとえば新書判の本書に1冊1万円の値段をつけても、おそらくなかなか売れないでしょうから、その価格設定がインフレに影響することはありません。
最近都内のマンション価格が上昇していますが、それは不動産業者が適当に高い値段をつけているから上昇しているのではなく、実際にその値段で売れているから上昇しているのです。インフレ経済では売る側にとっては高い値段でモノが売れている状態なのは事実です。もちろん、仕入れ値も上がりますからインフレが利益につながるかどうかはまた別の問題です。
金融地獄を生き抜け
著者名 我妻佳祐
発行元 幻冬舎
価格 1,144円(税込)