心苦しい反面、ご理解もいただきたい……(40代・証券)

本人名義の口座からしか入金を受け付けていないのに、他人名義の口座から資金を振り込んでくるお客さまの対応に困っています。

ほとんどのお客さまは、ルール通り組み戻しに応じていただけますが、中には振込手数料を払いたくないので受けてほしい、手数料を負担しろ、返金しろなどとおっしゃってくるお客さまもあり、対応に苦慮します。

しかし、名義を借りたなりすましの可能性がある以上は、取引を実際に行っているかの確認をしなければならず、名義を使われた方に対する対応も発生します。さらに、この方が口座を保有する別のお客さまだったりするとまた話がこじれる可能性もあり、非常に気を遣います。

なりすまし取引の疑いが少しでも出てくると、なりすましを行った方、行われた方、もしくはその両方の口座の新規のお取引を停止したり、最悪の場合、本人確認が取れるまで出金を含めた口座凍結という措置が取られる場合もあります。このように、お客さまの資金を拘束する手立てを取らざるを得ないときは正直心が痛みます。

最近では、資金はあるけれどもパソコンの操作に不慣れで煩雑な作業を嫌う高齢の両親に代わって、その子供が資金取引を行う場合もあります。

こうした、なりすましの意図がないお客さまの状況を理解できる場面も多々あるだけに、上記のような対応に発展してしまうと、お客さま対応に当たる者としては本当に残念で仕方がありません。

仕組みの隙を突いて悪用する人のせいで、便利さが損なわれてしまうケースは、他にもたくさんありそうですね。お金を扱う金融機関のルールは、性善説でなく性悪説をベースにせざるを得ないという事情をご理解いただけるとよいのですが……。(編集部)