「心」を重視する顧客にどう向き合うかがカギ(50代・銀行)
金融機関のトップの中でも、リテール部門に籍を置き、リテール部門での経験値の高い人間は非常に少数です。金融機関では、ホールセール部門や国際部門で活躍した人材が経営の舵取りをしているケースが圧倒的に多いのが現状です。
しかし、金融リテールビジネスというのは実は奥が深く、ゴールまでの道のりも険しいものです。なぜか? それは、リテール業務において、顧客には金融機関に対する「義理」がない分、「心」が重要だからです。この事実に気付き、富裕層ビジネスの核に着手する金融機関は生き残るのではないでしょうか。
コンサルティングの優劣が必ず勝敗を分けると思います。
マス層には利便性を 富裕層には高品質なアドバイスを(30代・銀行)
ウィズコロナで、来客誘致、訪問による面前セールスはやりにくくなる。
よって、ネットチャネルなどの利便性をさらに良くするとともに、商品性を簡便にしてマス層向けに自然体でも増加が図れるビジネス体制をつくることが必要である。
例えばNISAの繰り越し手続きをはじめ、改善すべき煩わしい点は少なくない。また、マス層の顧客を増やすためには顧客の金融リテラシーを高めることも必要で、一部の金融機関で行われている教育との連携なども必要ではないだろうか。回り道のようだが、裾野を広げることが結局、大きな成果を生むと思われる。
一方、これから富の格差も拡大するだろう。高齢富裕者のほとんどの資産は未だ預貯金となっており、この運用に真剣に取り組まなければならない。もちろん若者に比べれば、「安全第一」での運用が大事だが、この層の資金を動かすことが日本経済にとっても重要であり、本人たちとしても大きな損失さえなければ少しでも有利な運用を望んでいる可能性が高い(実際、私が近い年代なのでそう思っている)。
ウィズコロナで多数の顧客の対面接客はできなくても、そうしたニーズを持つ富裕層を選定した上で、形式的ではない、本当に役に立つパーソナルな運用相談に乗り、有料であっても的確な助言をするビジネスが求められるのではないだろうか。そのためには、それが可能な人材の育成が必要である。