身内だからこそ、タチが悪い! (30代・銀行)
商談であっても、まずはたわいもない世間話から入るのがコミュニケーションの基本中の基本。ただ、そうはいっても本題に入るタイミングをはかるのが難しいお客さまも多く、特にその傾向が強いのがOBの顧客だ。
自分たちの時代はこうだった、という自慢、説教。あるいは、頭取や部長などの役員の話題……。これなら世間話のほうがまだましだと感じるような話を散々聞かされる。
元・身内といえど、お客さまである以上むげにもできない。どのようにリアクションしてよいか分からず戸惑っていると、逆に話がヒートアップしてしまうこともあり、参ってしまう。
「1人1つまで、とは書いていないよね」と、キャンペーン特典の粗品欲しさに、あえて口数を細かく分けて申し込んできたのも弊社OBでした……。
ガードの堅さに面食らうも、意外な展開に(50代・銀行)
これまでの接客経験で一番困ったのが、訪問先のお客さまから開口一番、「今日の会話は全て録音させてもらいますね」と言われたこと。普段の提案に後ろめたいことがあるわけではないが、やはり緊張はするものだ。
「絶対に上がる」「間違いなく得をする」など、断定的な発言と捉えられてはいけないと考え、商品の話よりも、いま世界で起こっていることを、事実ベースで、中立的な考え方を心掛けながらお話しした。
さらに、こちらから話すばかりではなく、質問を投げ掛けるようにした。結果、質問への回答を通じ、お客さま自身の言葉でお考えを確認できたため、それを基に提案の方向性を導き出すことができたのは収穫だった。
はじめこそ少々驚いたものの、振り返ればとても良い経験をさせてもらったと思う。
販売色を抑えたコミュニケーションで顧客の相場観を把握できたこの経験から、私はそれ以来、「お客さまならどう判断するか」を軸として意識している。