「これは困った……」を逆手にとる! (40代・銀行)

既に異動した他の職員が販売し、現状運用損を抱えているお客さまがいらっしゃるが、この方の対応がとても大変。

フォロー中に毎回、「この投信を販売した●●は投資環境が大して分からないのに私にこんなのを買わせちゃって、とんでもない奴よね」と言って、同調を求めてくるからだ。

「以前よりもだいぶ回復しており、トータルの運用損益でも大きなリターンを得られている状況ですよ」とお伝えしても、マイナスの印象は拭い切れない。しまいには「あなたは信じて大丈夫なのかしら、ふっふっふっ」と、なんとも老獪な発言をされるのだ。

そもそも、私個人の印象では、その担当者はとてもスキルが高く、マーケット感覚に富んだ職員。しかもその方は、同じ担当者が販売した別の投信で、現状の運用損をあっさり飲み込むほどの利益が出ているのに……。哲学的な話だが、やはり人間というのは「失敗したことは他人のせいにする」ことで少しでもストレスを和らげたくなるのだろうか。

一方で、こんな人間臭いやり取りを自分たちの商売につなげることができるのが対面チャネルの強みや楽しみ。新たなニーズを探していくこと、信頼してもらう提案を考えることで自分を鍛えている。

ポジティブに考えると、「対応に困るお客さま」は「自分のスキルを高める絶好のお客さま」でもある。支店への帰路の中、「は~、疲れた……」ではなく、「次回行くときはどんな提案しようかな」と考えながら、毎月1回程度は訪問する月日を繰り返している。

情報を制するものは全てを制す。反応に困る悪口や愚痴も、「何を求めているか」のヒントにすれば、提案の内容をブラッシュアップできるということですね。苦手なものにこそ臨んでいくスタイル、見習いたいところです。(編集部)