実はここまでの話は前振り。ここからが本題です。

このトランプシフトはアメリカにとってみると、「凶」になるのではないかと思います。

今アメリカでは金利が著しく上昇しています。なぜ金利の上昇がアメリカにとって「凶」となりうるのか。私がそう思ったのはこの資料を見たからです。

 

こちらは今週FRBから発表された「Senior Loan Office Survey」をもとに作成した図です。

「Senior Loan Office Survey」とは簡単に言うと、米銀行の融資担当者にFRBが3カ月に1度行っている「あなたの取引先(大企業+中堅企業)で資金需要は高まっていますか?」「あなたの取引先では資金需要は減退していますか?」といったアンケート調査への回答をまとめたものです。

細かく画像を見ていきましょう。赤い縦線が引かれている箇所が利下げの期間、資金需要は青い折れ線グラフです。

40以降の数値は「資金需要が高まり設備投資に邁進している」ことを示します。逆にマイナスの方向は「資金需要は減退している」ことを意味します。

次に、利下げ期間の動きを見てみるとやはり資金需要は低いようです。弱い資金需要を何とか盛り上げようとして、金利を下げる。「金利を安くしているので、お金を借りてくれませんか」といったアプローチをしていることが見て取れる。

これは金融政策の基本にも通じるアプローチです。「なぜ金利を下げるのか」を一番わかりやすく説明するなら、消費を奨励しているということになります。金利を下げたので、どんどん消費してください。企業も設備投資をしてください、というわけです。

逆に金利を上げるということは、「お金を使うのはやめて貯蓄しましょう」「企業も慎重に設備投資をしてください」といったメッセージを発していることを意味します。