友人の前科の数々

星奈は思い当たるフシがあったようでした。そして、私が誰とも言っていないうちに「それ、舞だよね?」と確認してきたのです。

これには驚きました。

聞けば、星奈の結婚式の時も舞の祝儀袋は空だったそうです。「でも、受付をしてくれた真由にそんなこと言ったら、私が真由のことを疑ってるみたいじゃない。だから言えなかった」と打ち明けられました。

「これ、ヤバくない? 優里にも聞いてみるよ」

星奈はすぐに同じ6月に軽井沢で挙式した優里にも連絡を入れました。優里も身に覚えがあったらしく、その日のうちに早速、舞に問い質したようです。

そして、証拠を突き付けられた舞は、故意に空の祝儀袋を渡していたことを認めたのでした。社交的で広い人脈を持つ舞は結婚式に招待されることも多かったらしく、「いちいちご祝儀を包んでいたらやっていられない」と、途中から空の祝儀袋を渡すようになったと話したといいます。

とはいえ、結婚式に出席していた舞は、いつもばっちりメイクでドレスはハイブランドの最新コレクション。花嫁よりも目立つような装いでした。とてもご祝儀が払えない経済状態とは思えません。

「もらう側はご祝儀袋が空だったなんて言いづらいから、あえてそこを狙ってたってことだよね」

「それって犯罪じゃないの?」

「もともと舞って自己中だし」

「っていうか、非常識すぎるでしょ」

「だけど全然悪いと思ってないよ、あのふてぶてしい態度!」

舞の“悪事”が発覚した直後、舞を削除したグループチャットでは厳しい言葉が飛び交いました。

でも、舞との共通の知人によると、舞は私たちからハブられても全くこたえていないようです。結婚式には相変わらず空の祝儀袋を持っていっているのかもしれません。

幼稚園から四半世紀近く付き合ってきて、そんな舞の本性を見抜けなかった自分が情けないです。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。