インドならではの課税からコスト高になる場合も…コストと運用成績のバランスに注意
インド株の投資信託を選ぶ際に注意すべきもう1つのポイントは、新興国特有のコストの存在である。一般的に新興国株式は、先進国と比べ、投資信託運用における関連コストが高い傾向にある。信託報酬には含まれない保管費用のほか、キャピタルゲイン課税(非居住者が株式を売却した際に払う税金)の存在も無視できない。実はインド政府は今年7月、インドの株式市場への資金流入をクールダウンさせる目的でキャピタルゲイン税率を引き上げている。
税率が上昇すれば、その分利益は圧迫されるため、今後は表面上の信託報酬だけでなく、運用報告書で公表される経費率(目論見書に掲載されている信託報酬と「その他費用」の合計を純資産残高で除した値)も併せて確認する癖をつけた方が良い。なお、表にある「野村インド株投資」の総経費率が突出して高いのは、キャピタルゲイン課税に起因するものであり、同ファンドの運用報告書にもその旨記載がなされている。当ファンドに限らず、今後は多くのインド株ファンドで一時的にキャピタルゲイン課税引き上げの影響を受ける可能性がある。
もちろん、経費率が高くても、それに見合ったリターンが出ていれば問題はない。本稿の一覧を含め、公表されている投資信託のリターンや基準価額は全て「コスト控除後」の値である。ファンドを選ぶ際は、表面的な信託報酬の値だけにとらわれず、コストに見合った成績を維持できているかも併せて確認するようにしてほしい。