インターネット証券も淘汰が進み、SBI&楽天の二強状態に

しかし、インターネット証券会社を中心に激化した手数料の引き下げ競争は、個人の株式売買におけるコスト負担を大幅に軽減しましたが、一方でサービスを提供する証券会社は薄利多売を強いられ、厳しい生き残り競争にさらされました。一時は多数あったインターネット専業の証券会社も淘汰が進み、この競争を生き残った一部のインターネット証券会社に、口座開設が集中しました。

2024年6月時点の口座開設数で見ると、SBI証券(SBIネオトレード証券、FOLIOを含む)の1293万6000口座、楽天証券の1133万口座が断トツで、対面最大手である野村證券の552万4000口座を大きく上回っています。

ちなみにインターネット専業では2024年6月時点で、第3位にあるマネックス証券が262万7000口座ですから、インターネット証券会社はSBI・楽天の二強時代といっても間違いではないでしょう。

そして、株式売買手数料の引き下げに加えて、前述した投資信託の購入時手数料無料化や商品ラインナップの拡充が進み、インターネット証券会社は個人が投資する際のプラットフォームという立ち位置を確立したのです。

一方、対面型の証券会社は、こと個人向けサービスに関しては高齢者向け、あるいは富裕層向けサービスに舵を切る動きが見られます。

9月11日のブルームバーグ通信の記事によると、野村総合研究所が作成したデータをベースにした分析で、投資信託の残高シェアは銀行等と非ネット証券の合計で8割近くを占めているということでした。金融資産の多くを高齢者が保有していることからすれば、当面はその資産管理、ならびに次の世代へのスムーズな資産承継が、対面型証券会社のメインのビジネスになっていくでしょう。

また、先に触れた口座数で考えれば、インターネット証券会社と対面型証券会社の競争は「勝負あり」の感があるものの、このままインターネット証券の独走が続くかどうかは、まだ何とも言えません。

たとえばスマホ証券。口座開設申し込み、入出金、取引といった、投資に関する一連の手続きをすべてスマートフォンで完結できる証券会社が、これから台頭してくる可能性があります。特に10代、20代はスマートフォン世代であるだけに、スマートフォンを介しての取引での顧客利便性を高めた証券会社が、次の覇権を握ることになりそうです。