個人の投資環境は、どれほど変わったのか

10月4日、「証券投資の日」にちなんで、個人が投資を行う際のプラットフォームでもある証券会社と、その周辺環境がどのように変わってきたのかを、振り返ってみましょう。

「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられたのは、2001年のことです。詳細なデータがなかったので、やや前後してしまいますが、1999年度時点の個人金融資産の総額は1420兆円。2003年度が1411兆円でした。そして、個人金融資産に占める金融資産別の構成比を見ると、2003年度は以下のようになっています。

現金・預金・・・・・・55.3%
債券・・・・・・2.5%
投資信託・・・・・・2.4%
株式等・・・・・・8.4%
保険・年金等・・・・・・26.8%
その他・・・・・・4.6%

では、直近の構成比はどうなっているでしょうか。2024年6月末時点の数字を見てみましょう。

現金・預金・・・・・・51.0%
債券・・・・・・1.3%
投資信託・・・・・・5.8%
株式等・・・・・・13.6%
保険・年金等・・・・・・24.6%
その他・・・・・・3.7%

まだ、相変わらず現金・預金の占める比率が過半であることに変わりはありませんが、投資信託や株式等のリスク資産の比率がやや上昇しています。

前述した「貯蓄から投資へ」のスローガンが掲げられた2001年当時の日経平均株価は、まさにバブル崩壊とデフレ経済の突入によって下落の一途をたどっている最中でした。

ちなみに2001年3月の日経平均株価は1万3000円水準で、2003年4月には7603円まで下落。2007年2月にかけて1万8300円まで回復したものの、2008年のリーマンショック、その後の民主党政権における経済失政を受けて株価の低迷が長期化し、ようやく上昇トレンドに転じたのは、2013年以降のアベノミクスによる大金融緩和が行われてからでした。そして2024年2月には念願の最高値更新となり、7月11日には4万2426円まで上昇しています。

個人金融資産に占めるリスク資産の比率が上昇した一因は、この12年間、株価が右肩上がりで上昇を続けたからと考えられます。