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利上げが行われた、7月の金融政策決定会合の議事要旨を読みました。小躍りしましたよ。日本銀行の長い歴史の中で初めて中立金利について語られていたからです。内容を見てみましょう。

 

政策委員会審議委員のお1人が「日本にも中立金利はあり、それは1%程度あるとみている。政策金利を中立金利まで上げるべきだろう」と指摘したのです。

対して、ほかの委員からは、「金融政策の正常化が目的になってはならない。様々なリスクに目配りをして注意深くやるべきだ」という意見も出ました。

ほかにも「予測物価上昇率が2%にアンカーされていない。下方リスクがある中で、市場利上げ観測が強まりすぎることは避けるべきだ」そんな意見も飛び出した。

 

おそらく、中立金利について触れた政策委員会審議委員は、田村直樹さんだと思われます。2週間ほど前の後援会でも「私は中立金利が1%程度あると思います」そう、堂々と語っておられましたから。

最初にその話を聞いたとき、私自身は懐疑的でした。現在の無担保コールレートは0.25%です。中立金利が1%あるということは、あと4回ほど利上げすることを意味します。株が大きく下がり、円が大きく買われたときにそんなことをするのはさすがに無理だろうと思ったのです。

そんなおり、金融政策決定会合の要旨を目にしました。自分の目標とすると中立金利について話したり、具体的な金利について話したり。

波乱が起こるような意見があまり見られない金融政策決定会合で、よくぞ波風を立つような意見を言ってくださったと思いました。ぜひご本人にお話しを伺いたいです。

 

議論はまだ続きます。反対意見も出てきます。「中立金利をめぐる不確実性が大きい、そもそもどこにあるかわからない」というような意見です。続けてアメリカのターミナルレートの議論にならい「機械的に政策金利を動かしていくという政策運営は難しい」といった見解を示しています。

いずれにしても、日銀の金融政策決定会合で初めて「中立金利」という言葉が登場しました。

また、これまでは利上げの理由について「実質金利が低いから」という理由が使われていた。しかし、「どこまで上げるのか」という議論がなかったところから「政策金利を変更する際に、検討すべき点について考えようではないか、となったわけです。とりあえず、1歩は進んだのではないかと思います。