前回の記事はこちら
今週の注目はFOMCです。いろいろな角度から見ていく必要がある、それくらい調べがいのあるFOMCだったように思います。
まず、見通しの変化を見ていきましょう。実質GDP成長率はずっと2%で固まっています。長期見通しは、FOMC19人のメンバーのうち10人目の方の意見を採用し、1.8%になっていますが、実際には2.0%くらいを見ているのかもしれない。実情としては上がっているのではないかと思います。
次は失業率の見通しです。今回のFOMCでは4.4%失業率が上がる見通しとなっています。ここで一つ疑問が浮かびます。実質GDP成長率が2.0%でずっと走るのであれば、失業率が4.4%になるとは考えづらい。どちらかが間違っているのではないかと。ここが今回のFOMCの見通しの変化における突っ込みどころの一つです。
対してインフレ率は今年の年末は2.6%まできている。あとはスピードの問題で来年末には2.2%に、2年後には目標の2%を達成する。そんな見通しであることがわかります。
そして今回注目のFFレートです。0.5%の利下げが決まり、誘導目標レンジは4.75%~5.0%になりました。また、今年の年末の予想を見てみると4.4%つまり、4.25~4.5%まで誘導目標レンジが下がるということになります。
次に来年のFFレートです。さらに大きく1%の利下げがあります。そして、26年末の予想ではFFレートは2.9%になります。FFレート長期見通しは2.9%に上がりましたから、26年の夏には着地していることになる。つまり、かなり早い利下げになる可能性があります。
次にアメリカの債券市場の動きを見ていきましょう。わずか1日の話ですが、非常にユニークな動きをしました。青線は9月18日、政策が発表されたその日のイールドカーブの変化を示しています。
一見すると、赤線の9月17日とだいたい同じような形になっているので、グラフはほとんど動いていないように見えます。
しかし、注目してほしいのが金利の変化幅です。1か月から30年金利まで取れる限りのデータをとってグラフにすると「ぐにゃぐにゃ」と動いていることがわかります。具体的には1年までの短い金利は下がり、2年より先の金利は上がる、そんな動きでした。
これがまさに「中立金利のなせる業」です。抽象的な話になりますが、そもそも中立金利とは、政策金利の無限の世界、はるか遠くの未来の金利だと考えることもできます。
だから30年の金利とも動きが一致する。イールドカーブの変化幅を見てみると、短期で金利を0.5%さげたので、短い金利が下がり、未来の金利を見てみると、長期的には0.1上がるという形になった。
その結果、長期金利は上がり、ドル円も若干上がる。金利の弾性値が効いてきますから、日本株も上がる。
ですが、ここで誤解してはいけない点があります。中立金利は、ここまで説明してきたような形で毎日動くわけではないということです。
こうした金利の動きを見ていて私が感じるのは、資本の自由化です。80年代は、そう簡単にアメリカ株を購入することはできませんでした。
アメリカの方も簡単に日本株、日本債券を買うことができなかった。プロも手続きが煩雑で、手数料が高額であることから購入をためらった。
これが90年、00年、10年代、そして20年代ともなってくると、誰でも全世界株式、S&P500やナスダックを買えるようになった。NVIDIAの株式だって買える。そんな時代になりました。
アメリカの方も、誰でもトヨタやファーストリテーリング変える、日経225も理解できる。そんな時代になりました。私が始めたころとは全く違う為替相場になった。そう実感しています。