候補物件が見つかるも、販売価格は約2億円

タワマン暮らしは一度経験してしまうとやめられないと言います。しっかりしたセキュリティ、外に出なくても買い物や医療などほとんどの要件が済むワンストップ性、加えて高層階の眺望の素晴らしさや、居室や施設のホテルのようなラグジュアリー感、快適さはやはり別格だと感じています。いまさら普通のマンションには住めません。

そこで5月頃から都内で新築のタワマンを幾つか内覧していたところ、「ここなら!」という候補物件が見つかりました。

今賃貸しているタマワンのすぐ近くなので立地的には全く問題なく、さらにマンション内に託児所やキッズルーム、小児科クリニックなども併設される予定で、子育て環境も整備されています。

上層階の物件だと、販売価格は2億円になります。ただ、販売会社の方によると、頭金2000万円を入れ、35年のペアローン(夫婦など親族間でそれぞれが契約者として借り入れを行うローン。2人の収入を合算した金額をベースに借り入れできる)を組むなら購入は可能ということでした。

それを聞いて正直、九割方は購入するつもりでいたのですが、思わぬところからストップがかかりました。双方の親です。

親から勧められFPに相談することに

私たちの親は両方ともお堅い公務員。「もうすぐ子供も生まれるのに、2億円もの借金を背負うなんて」と疑心暗鬼になったようです。

地方在住の義両親の意向もあり、うちの母が一緒に相談に行こうと言ってきた先が、ファイナンシャルプランナー(FP)の小室さんでした。小室さんは不動産会社の出身で、住宅購入や住宅ローンの選び方などのコメントをメディアに数多く寄せているので、「この人なら安心して相談できる」と考えたのでしょう。

やむなく、うちの母と夫と3人で小室さんの事務所を訪れたのが、今から2カ月ほど前のことでした。

初対面の小室さんは私たち夫婦とほぼ同世代に見えました。

事前に送付したタワマンの案内や購入の資金計画書などにはひと通り目を通してくれていたらしく、開口一番、こんな言葉を投げかけてきました。

「渡部さん、いいマンションを見つけましたね! 立地やブランド、希少性、管理体制、いずれも申し分なく、これから高級タワマンが次々建設される中でも資産価値が維持しやすい悪くない物件だと思います。ただ、僕が渡部さんだとしたら、今、この物件は買いません」

は? それだけ上げておいて落とすってやつですか? ボクシングにたとえるなら、いきなりカウンターパンチを食らったような気分です。

思わず口あんぐりの夫の横で、うちの母がにんまり笑うのが見えました。

●FPの小室さんが購入を勧めない理由とは何だったのでしょうか? 後編【世帯年収1800万円の夫婦がタワマン購入を検討…専門家が「自分だったら今は買わない」と助言したワケ】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。