「男の子の遊びなんだから」息子の友人に募るストレス

「子どもがやったことに大人がムキになって、恥ずかしくないんですか?」

静かなリビングに響き渡ったのは、ママ友の怒号だった。

35年ローンで手に入れた、埼玉県内の建売住宅。残りローン残高は3,200万円。32歳の会社員・優太と、同い年のパート妻・美咲、そして小学3年生の息子・陸の3人家族にとって、この家は何より大切な憩いの場所だった。優太が毎月の返済を欠かさず、美咲もパート代からコツコツとインテリアを買い揃えてきた、家族の努力の結晶だ。

しかし、その穏やかな日常はたった数カ月で踏みにじられることになる。原因は、陸が連れてくるようになったクラスメイト、「翔太くん」の存在だった。

「翔太くん、今日も来るの……?」

美咲の心は、放課後が近づくたびに重くなった。翔太くんは、悪気なく「やんちゃ」の領域を超えてくる子供だった。

最初に壊されたのは、美咲が気に入っていた3,500円のアロマディフューザーだった。倒されて床がオイルまみれになり、次はクッションに油性ペンで描かれた落書き。買い替えれば4,000円。

相手の親に言おうか何度も迷ったが、「数千円のことでわざわざ角を立てるのも……」と躊躇してしまった。夫の優太に相談しても、「男の子の遊びなんだから、そのくらい大目に見てやろうよ。陸も友達がいなくなったら可哀想だし、弁償なんて言ったら学校で気まずくなるだろ」と事なかれ主義。

美咲は「私が我慢すればいいのか……」と、飲み込むしかなかった。