<前編のあらすじ>

お盆休みが明けてから、朝起きづらく体が重い状態が続いていた翔子。夫・栄司からは「夏バテみたいな感じなんじゃない」と言われるが、翔子自身は単なる疲れとは違う感覚を抱いていた。

そのうち食欲も低下し、仕事から帰るとすぐ横になる日が増えていく。栄司に相談しても、会社で話せば甘えていると思われると忠告されるだけで真剣に取り合ってはくれない。

翔子は生活リズムや食事を整えるなど努力を続けるも、ある朝、混雑した電車内で周囲の声や電車の音が遠のく中、意識を失った。

●前編【「甘ったれてるって陰で笑われるぞ」不調を訴える妻を軽く見た夫…通勤電車で起きた“まさかの異変”】

通勤電車で倒れた翔子

翔子が目を覚ましたとき、そこは病院のベッドの上だった。

電車の中で倒れた翔子は近くにいた乗客や駅員に助けられ、そのまま病院へ運ばれたらしい。検査の結果、緊急性の高い異常は見つからず、倒れたときに頭をぶつけたりもしていないとのことだった。点滴を受けたおかげか、気分はほんの少しだけましになったような気もする。

しばらくすると、会社から連絡を受けた栄司が慌てた様子で病院へやってきた。

「翔子……!」

「あ、栄司。ごめんね、心配かけちゃって」

栄司は軽くつばを飲み込んだ。

「だ、大丈夫なのか? 電車で倒れたって聞いたけど……?」

「うん、今はもう大丈夫。体にも何にもおかしなところはないって言われたし」

翔子がそう言うと、栄司は安心したように息を吐いて、ベッド脇の椅子に座った。