「上を目指す」は何一つ間違っていない…?

ある意味、いわゆるエリート男性にありがちな失敗でしょうか。“非エリート”というか、ごく普通の人の感覚を理解できないというか……。理解できないことは相手を認めないことにもつながりますから、最終的に相手が離れていくのも当然といえます。

例えるなら、努力家で常に成績優秀な方と、勉強嫌いでテストの点数など気にしない人が付き合うようなものでしょうか。その成績優秀な人が勉強嫌いな人に努力の大切さを説いて勉強を促したら、そういう相手は普通、喜ぶどころかうっとうしく感じるものです。その人のそばで勉強を重ねれば、相手は常に居心地の悪さを感じるかと思います。自分とは異なる価値観、価値基準で生きる人もいることを人間関係の中からもっと理解しておくべきだったでしょうね。

一般的に称賛され美談になりやすいのは、努力や研鑚によって結果をおさめる側であり、本編で言うならば、拓也さんです。ですが、家ではテレビなどでのんびり過ごすのは「普通のこと」でもあります。

それに、お世話が行き届かずシワ寄せがいくのは長女です。愛さんの“成長を促す”より、まずは全力で育児に取り組むべきだったと思います。そうすれば結果的に彼女の負担も減り、仕事との両立もしやすくなっていたはずです。

そもそもなぜ、彼女と交際し、結婚したのでしょう。彼女が“勉強嫌いタイプ”“家でまったりタイプ”だったから、都合よくデートを重ねられ、負担も少なく、居心地も良かったのではないですか?

自分と同じような「上昇志向の人」と付き合ったら、どうなっていたでしょうか? もっと多くを、高い水準で要求されていたかもしれません。 仕事ならともかく、プライベートで人と付き合うなら、相手の特徴は良いようにとらえるよう努めましょう。