純利益が倍増、今期も増益の見込み PBR 1倍は達成できるか

最後に業績も確認しておきましょう。

2024年3月期は増収増益でした。特に増益幅が大きく、純利益は2.2倍に急拡大しています。主な要因は保有債券の損失が143億円改善したことと、前期に53億円のマイナスを計上した保有株式の損失のはく落です。また政策保有株の売却益を計上したことも利益を押し上げました。

【ひろぎんHDの業績(2024年3月期)】
・経常収益:1861億円(+16.1%)
・経常利益:342億円(+81.8%)
・純利益:277億円(+121.4%)
※()は前期比
※参考(広島銀行単体):業務粗利益896億円(+28.4%)、コア業務純益390億円(+13.7%)、業務純益335億円(+42.6%)

出所:ひろぎんHD 決算短信

今期(2025年3月期)も増益を計画します。経費の増加を見込みますが、資金利益の増加で吸収し約8%の最終増益を目指します。

【ひろぎんHDの業績予想(2025年3月期)】
・経常収益:非開示
・経常利益:440億円(+28.8%)
・純利益:300億円(+8.3%)
※()は前期比
※参考(広島銀行単体):コア業務粗利益960億円(+4.3%)、コア業務純益400億円(+2.8%)

出所:ひろぎんHD 決算短信

中長期の計画も確認しておきましょう。

ひろぎんHDは2024年3月、新しい中期経営計画を発表しました。期間は2029年3月期までの5ヵ年で、自己資本比率を維持しつつ連結ROEおよび連結BPSの向上を図ります。

【中期経営計画(~2029年3月期)の財務目標】
・連結ROE:7%以上(5.5%)
・自己資本比率:11%以上(10.7%)
・連結BPS:2000円以上(1708円)
※()は2025年3月期見通し

出所:ひろぎんHD パーパスの制定・中期経営計画2024について

中期経営計画ではPBR 1倍を目指す計画も明かされました。銀行はPBRが低い傾向にあり、ひろぎんHDも0.68倍と1倍を下回っています(2024年7月8日終値)。

ひろぎんHDは計画期間中、資金をより高い利益が期待できる資産へ振り向けることで収益性を改善し、企業価値の向上を目指します。

【単純平均PBR下位3業種(プライム市場、2024年6月)】
・銀行業:0.4倍
・パルプ、紙:0.6倍
・鉱業:0.7倍
・(参考)総合:1.3倍
※連結

出所:日本取引所グループ その他統計資料 規模別・業種別PER・PBR

文/若山卓也(わかやまFPサービス)