住宅ローン金利の上昇を伝える報道が増えてきました。上昇は固定型から始まり、マイナス金利の解除後は変動型でも引き上げる例が増えてきています。

金利の上昇で予想されるのが、銀行の業績拡大です。非金利業務の強化で低金利に耐えてきた銀行は、金利の上昇で本来の実力の発現が期待されます。

ちゅうぎんフィナンシャルグループもその1つです。従来は保守的な業績予想を出す傾向にありましたが、足元の2025年3月期は強気です。純利益で240億円を稼ぐ計画で、第1四半期でその4割を達成しました。

今回はちゅうぎんFGに焦点を当ててましょう。同社の概要と業績を紹介します。

岡山県の地方銀行グループ 30年ぶりに海外支店を開設

ちゅうぎんFGは中国銀行を中核に持つ金融グループです。中国銀行が持ち株会社化し、2022年に誕生しました。近年は地方銀行の再編が進んでいますが、中国銀行は1930年の発足を最後に他行と統合したことがありません。持ち株会社制への移行も、単独の株式移転で行われました。

中国銀行は岡山県を地盤に持つ地方銀行です。岡山県を中心に、広島県や香川県などに店舗を展開しています。

岡山県におけるシェアは高く、2024年3月末で預金の51.3%、貸出金の46.0%を中国銀行が占めています。また広島県や四国地方でも一定のシェアを握っており、総資産は中国地方の地方銀行で2番目に位置しています。

【中国地方に本店を持つ地方銀行の総資産(単体、2024年3月期)】
・広島銀行:12兆7201億円
・中国銀行:10兆7083億円
・山陰合同銀行:7兆3331億円
・山口銀行:7兆2058億円
・鳥取銀行:1兆1437億円

出所:全国地方銀行協会 地方銀行の決算

中国銀行は海外にも店舗を持っています。2023年にはシンガポール駐在員事務所を支店に格上げしました。中国銀行の海外支店開設は、1994年の香港支店以来で約30年ぶりです。

シンガポール支店の狙いは、地域の海事産業の支援です。瀬戸内海に接する岡山県は造船や海運が盛んな地域です。同じく海事産業が盛んなシンガポールへ支店を持ち、金融面から支援することで地域企業の海外進出を支える狙いがあります。

この取り組みもあり、中国銀行の海外店およびオフショアの貸し出しは増加しています。シンガポール支店は、2026年度までに総資産1000億円を目指します。