株式市場でいよぎんHDが注目を集めています。2024年6月11日までの5年間で株価は2.6倍に上昇しました。金利が上昇し、業績の拡大を期待した買いが向かったとみられます。また、いよぎんHD固有の要因として、債券運用で大きな利益を確保したことも背景にあるとみられます。
いよぎんHDはどのような企業なのでしょうか。概要と直近の業績を押さえましょう。また今期の業績予想と新しく公表した中期経営計画(2024年度~2026年度)も紹介します。
海事都市を支える銀行 貸出の2割は海運業
いよぎんHDは愛媛県を地盤に持つ金融グループです。伊予銀行を中核に、リースや証券、保証業務といった金融サービスを担っています。傘下のシステム会社は、グループ向けだけでなく一般企業向けにもサービスを提供しています。
【主要子会社の業績(2024年3月期)】
経常収益 | 純利益 | |
伊予銀行 | 1729億円 | 378.67億円 |
いよぎんリース | 170億円 | 5.55億円 |
四国アライアンス証券 | 18億円 | 0.18億円 |
いよぎん保証 | 21億円 | 8.56億円 |
いよぎんコンピュータサービス | 29億円 | 1.65億円 |
愛媛県は海運業や造船業、船用工業といった海事産業が集積する地域です。造船所は県内に22事業所あり、今治圏域は外航船保有隻数が全国1位、宇和島圏域は海面養殖業の生産額が全国1位となっています(出所:いよぎんHD 決算説明会資料 参考資料編)。
こういった地域性から、いよぎんHDは貸し出しの多くを海運業が占める特徴を持っています。
【業種別貸出金残高 構成比上位5業種】
・運輸業:23.3%
・製造業:12.9%
・卸売・小売業:10.3%
・各種サービス業:8.9%
・不動産業:6.3%
※運用業のうち海運:20.9%