2024年6月15日、九州に半導体産業の製造園区(パーク)を設置する計画が台湾で浮上していると報道されました。ファウンドリ世界最大手のTSMCが熊本に進出して以来、九州全体で半導体産業の動きが加速しています(出所:時事通信 九州に半導体製造パーク構想 TSMC進出で浮上―台湾 2024年6月15日付)

恩恵が期待される企業の一つがふくおかフィナンシャルグループです。ふくおかFGは九州で強い営業基盤を持っており、グループ銀行で半導体関連の融資が増えています。

【ふくおかFG傘下行の半導体関連取引先の融資残高(2024年3月)】
・福岡銀行:1282億円(+12.2%)
・熊本銀行:143億円(+36.8%)
・十八親和銀行:276億円(+2.3%)
・合計:1701億円(+12.1%)
※()は前年同月比

出所:ふくおかFG 決算説明会資料

今回は九州トップクラスの金融グループ、ふくおかFGに焦点を当ててみましょう。同社の概要と業績、また近年の半導体に対する取り組みを紹介します。

九州の巨大銀行グループ 総資産は地銀最大

ふくおかFGは5つの銀行を持つ金融グループです。地方銀行の福岡銀行と十八親和銀行(長崎)、第二地銀の熊本銀行と福岡中央銀行、またインターネット専業のみんなの銀行を傘下に持っています。福岡銀行と十八親和銀行は、経常収益(売上高に相当)の10%超を占める特定子会社です(出所:ふくおかFG 有価証券報告書)

ふくおかFGが所有する銀行は地方銀行グループで最多です。早くから再編に取り組み、熊本や長崎の銀行を取得してきました。総資産は32兆円に達しており、これも地方銀行グループで最大です。

【地方銀行の持ち株会社の連結総資産上位5社(2024年3月)】

          連結総資産   グループ銀行
 ふくおかFG 32兆6497億円  福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行、
 福岡中央銀行、みんなの銀行
 コンコルディアFG 24兆3817億円  横浜銀行、東日本銀行、神奈川銀行
 めぶきFG 21兆7861億円  足利銀行、常陽銀行
 ほくほくFG 16兆3829億円  北海道銀行、北陸銀行
 しずおかFG 16兆1416億円  静岡銀行

出所:全国地方銀行協会 地方銀行の決算

株価はどうでしょうか。

ふくおかFG株式はおおむね右肩上がりに上昇しています。株価は5年前のおよそ2倍に値上がりしました(2024年6月18日時点)。金利が上昇したことを受け業績改善の思惑が働いたとみられます。