九州半導体の経済効果20兆円 専門チーム&地銀連合で需要に備え

冒頭の通り、九州は半導体産業の集積地となる兆しがあります。ふくおかFGによると、九州の半導体に関連する設備投資の経済波及効果は、2021年からの10年間で20.1兆円と推計されています(出所:ふくおかFG 決算説明会資料)。福岡・熊本・長崎を中心に、九州の広い範囲に営業基盤を持つふくおかFG には恩恵が期待されます。

【地域別の貸出金平残(2023年度)】

        福岡県     熊本県     長崎県    
 福岡銀行 7兆6391億円 1323億円 706億円
 熊本銀行 446億円 1兆3215億円
 十八親和銀行 3575億円 121億円 2兆2570億円
 福岡中央銀行 4012億円
 合計 8兆4424億円 1兆4659億円 2兆3276億円

※政府等向け貸出金を除く

出所:ふくおかFG 決算ハイライト資料

すでに半導体関連の貸し出しは増加傾向にあります。特に熊本銀行に融資相談が増えているようです。決算説明会資料によると、熊本銀行に寄せられる融資相談の2割は半導体関連となっています。

【熊本銀行への融資相談(累計、2024年5月公表時)】
・件数:760件
・金額:1350億円
・うち半導体関連:22%
※(参考)2023年11月公表時:件数500件、金額1000億円超、うち半導体関連21%

出所:ふくおかFG 決算説明会資料

ふくおかFGは半導体向けの体制を整え需要に備えます。2022年4月に熊本銀行に専門チーム「新地域開発推進チーム」を設置すると、2023年10月にはふくおかFGに「半導体ビジネス推進チーム」を設置しました。

ライバルとも手を取り合います。福岡銀行など九州と沖縄の地方銀行11行は2024年1月、半導体産業を後押しするため「九州・沖縄地銀連携協定」を結びました。同年6月には山口フィナンシャルグループの2行(山口銀行、北九州銀行)も加盟しました。地銀13行が連携し、金融面から半導体産業を支援します。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)