2024年5月22日、日本の10年国債利回りが一時1%まで上昇しました。1%台はおよそ11年ぶりの水準です。

金利が上がると一般に銀行株が買われやすくなります。主要な銘柄の株価は直近5年で2~3倍に上昇しました。

しかし、ゆうちょ銀行は株価の出遅れが顕著です。上昇こそしていますが、同期間の株価騰落率は30%にとどまります。

なぜゆうちょ銀行の株式はライバルと比較し上昇が鈍いのでしょうか。ゆうちょ銀行の事業内容から探ってみましょう。また農林中央金庫の損失が話題ですが、ゆうちょ銀行の状況についても紹介します。

日本郵政グループの稼ぎ頭 預貯金は国内トップクラス

ゆうちょ銀行は日本郵政グループに属する銀行です。2015年11月にグループ3社(日本郵政、かんぽ生命、ゆうちょ銀行)で同時に上場しました。

日本郵政はゆうちょ銀行の株式を6割以上保有する筆頭株主です(2024年3月)。ゆうちょ銀行は日本郵政の利益の大半を稼いでおり、グループの中核的な存在となっています。

【日本郵政のセグメント利益(2024年3月期)】
・郵便・物流:▲686億円
・郵便局窓口:730億円
・国際物流:96億円
・銀行:4960億円
・生命保険:1692億円
※国際物流はEBIT、銀行と生命保険は経常利益、その他は営業利益
※(参考)郵政3社の純利益:日本郵政2687億円、かんぽ生命871億円、ゆうちょ銀行3561億円

出所:各社の決算短信

ゆうちょ銀行は旧・日本郵政公社の郵便貯金業務を母体に持ちます。口座数1億2000万口座、総店舗数2万3642店と、盤石な顧客基盤と店舗ネットワークが強みです(2023年3月)。預貯金額は、国内の主要行と比較しても引けを取りません。

【主な銀行株の預貯金額(2024年3月期)】
・三菱UFJ銀行:224兆0350億円
・ゆうちょ銀行:192兆8007億円
・三井住友FG:164兆8394億円
・みずほFG:159兆8547億円
・りそなHD:63兆5603億円
※貸借対照表ベース(連結)

出所:各社の決算短信