個人株主は2021年3月期に急増 理由は株主優待?
冒頭の通り、ひろぎんHDは多くの個人株主を抱えています。しかし、最初から個人に人気だったわけでありません。ひろぎんHDの個人株主は2021年3月期に急増しました。
当時は持ち株会社化のタイミングでした。前期の個人株主は1万5000人でしたが、2021年3月期に6万6000人へと4倍以上に増加しています。足元ではおよそ10万人まで拡大しています。
持ち株会社化は1:1の株式移転で行われました。また株式の新規発行や株式分割は現在まで行われていません。したがって株式の数が増えたわけではなく、発行済株式数はおおむね3億1200万株で安定しています。
ひろぎんHD株式は、なぜ急に人気化したのでしょうか。理由の一つは株主優待にあると考えられます。
ひろぎんHDは持ち株会社化にあたり、株主優待を拡充しました。従来はグループ企業の取引で特典を受けられるもので、取引がない人には恩恵が感じにくかったと考えられます(別途ひろしま美術館の招待券が進呈)。
持ち株会社化後は、株主優待にカタログギフトが加えられました(広島銀行の優遇金利と選択制)。取引がない人でも恩恵を受けやすくなったことから、個人株主が増えたと考えられます(出所:ひろぎんHD ミニディスクロージャー誌(2020年9月期))。
高い優待利回りも個人株主を引き付けたとみられます。カタログギフトは当時100株の保有で2500円相当、ひろぎんHDの2021年3月末の株価は677円でした。つまり100株保有したときの優待利回りは約3.7%、配当金(1株あたり12円。2021年3月期)を加味すると約5.5%にもなりました。
現在の株主優待制度は以下の通りです。カタログギフトは1000株以上を所有する株主が選択でき、1000株未満の株主はギフトカードが進呈されます。株価は1203円(2024年7月8日終値)、100株保有したときのギフトカードは500円相当ですから、優待利回りは約0.4%、予想配当金(1株あたり40円。2025年3月期)を加味すると約3.7%です。
【ひろぎんHDの株主優待(2024年7月8日現在)】
・100株以上:ギフトカード(500円相当)、観戦・鑑賞チケット抽選権(1口)
・500株以上:ギフトカード(1000円相当)、観戦・鑑賞チケット抽選権(1口)
・1000株以上:選択コース、観戦・鑑賞チケット抽選権(10口)
・5000株以上:選択コース、観戦・鑑賞チケット抽選権(50口)
※別途ひろしま美術館の招待券2枚を進呈(100株以上)
※観戦・鑑賞チケット抽選権は広島東洋カープ、サンフレッチェ広島、広島交響楽団のいずれか一つを選択
※選択コースはカタログギフトか広島銀行の定期預金金利の上乗せのいずれか(カタログギフト:1000株以上は5000円相当、5000株以上は1万5000円相当。広島銀行の定期預金金利の上乗せ:1000株以上は+0.1%、5000株以上は+0.3%)